源泉徴収票の見方|支払金額・所得控除・源泉徴収税額

金融

源泉徴収票は、1年間に支払われた給与の総額と、そこから差し引かれた税金や社会保険料を1枚にまとめた書類です。見るべき場所は、支払金額・給与所得控除後の金額・所得控除の額の合計額・源泉徴収税額の4つ。この順に追うと、「いくら稼いで、いくら控除されて、いくら税金を払ったか」の流れが分かります。

この記事では、国税庁の案内をもとに、源泉徴収票の各欄の意味、給与所得控除の仕組み、見落としやすいチェックポイントを整理します。年末調整の時期に、受け取った書類を読み解く際の参考にしてください。

電卓
電卓(写真:Coyau/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)

源泉徴収票とは?何のために使う?

源泉徴収票は、勤務先が発行する「給与所得の源泉徴収票」のことです。1年間の給与等の支払総額と、源泉徴収された所得税の額などが記載されています。年末調整をした場合は、その結果(年末調整後の税額)が反映されます。

主な使い道は、確定申告です。副業の所得がある場合や、医療費控除・ふるさと納税などで確定申告をする場合は、源泉徴収票の金額を申告書に入れる必要があります。確定申告の流れは確定申告の基本|誰が必要?いつ・どうやる?で整理しています。

また、転職した年は、前の勤め先の源泉徴収票が必要になることがあります。同じ年に複数の源泉徴収票がある場合は、支払金額の合計で判定されます。国税庁の給与所得控除のページでも、同一年分の源泉徴収票が2枚以上ある場合は、支払金額の合計額で判定すると案内されています。

各欄は何を表している?

源泉徴収票の主な欄を、国税庁の手引きにもとづいて表にまとめます。

欄名 意味
支払金額 その年に支払いが確定した給与等の総額
給与所得控除後の金額(調整控除後) 給与所得控除を差し引いた後の金額。所得金額調整控除がある場合は、その控除を引いた後の金額
所得控除の額の合計額 社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などの合計
源泉徴収税額 年末調整をした場合は、年末調整後の所得税と復興特別所得税の合計額
社会保険料等の金額 給与から控除した社会保険料などの合計
生命保険料・地震保険料の控除額 保険料控除申告書にもとづいて控除した金額
住宅借入金等特別控除の額 年末調整で計算した住宅ローン控除の額(算出所得税額が上限)
控除対象配偶者・扶養親族の欄 配偶者や扶養親族の有無、人数など

※「給与所得控除後の金額(調整控除後)」は、年末調整を行った人の源泉徴収票にだけ記載されます。

※国税庁の手引きでは、16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象外とされています。人数は記載されますが、控除額には反映されません。

給与所得控除とは?支払金額から何が引かれる?

会社員の所得(給与所得)は、「給与等の収入金額−給与所得控除額」で求めます。給与所得控除は、会社員の必要経費にあたるものとして、収入に応じて自動的に差し引かれる控除です。

国税庁は、控除額の計算表を年分ごとに示しています。収入が660万円未満の場合は、表ではなく所得税法の別表第五で給与所得の金額を求めるため、下の式はあくまで目安です。

給与等の収入金額 令和7年分の控除額 令和8年分・令和9年分の控除額
最低保障額の範囲 190万円まで:65万円 220万円まで:74万円
〜360万円 190万円超:収入×30%+8万円 220万円超:収入×30%+8万円
360万円超〜660万円 収入×20%+44万円 収入×20%+44万円
660万円超〜850万円 収入×10%+110万円 収入×10%+110万円
850万円超 195万円(上限) 195万円(上限)

※令和8年分・令和9年分の金額は、令和8年12月1日施行の法令にもとづくと国税庁のページに記載されています。施行前の適用関係は、国税庁のQ&A(令和8年5月)で確認が必要です。

たとえば、収入が500万円の場合、給与所得控除額の目安は「500万円×20%+44万円=144万円」です。500万円から144万円を引いた356万円が、給与所得控除後の金額の目安になります。収入が300万円なら、「300万円×30%+8万円=98万円」で、控除後は202万円が目安です。

※実際の源泉徴収票の金額は、別表第五や年末調整の表にもとづくため、ここで計算した目安と数千円〜数万円ずれることがあります。

源泉徴収票で確認したい3つのポイント

所得控除の合計額に、申告した控除がもれなく入っているか

所得控除の額の合計額には、社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などが含まれます。年末調整で申告書を出したのに、反映されていない控除がないか確認しましょう。生命保険料や地震保険料の控除額、住宅ローン控除の額は、専用の欄に出ています。

年末調整の書類や変更点は年末調整とは?必要な書類と令和8年分の変更点を参考にしてください。

配偶者・扶養親族の欄が実態と合っているか

控除対象配偶者の有無や、扶養親族の人数は、控除額に直接影響します。家族構成に変化があった年(結婚、出産、同居の親族の収入変化など)は、欄の記載が実態と合っているか、受け取った時点で確認しておくと安心です。

源泉徴収税額が、想定とずれていないか

源泉徴収税額は、年末調整をした場合は年末調整後の所得税と復興特別所得税の合計額です。毎月の給与明細で引かれた所得税の合計と大きく違う場合は、年末調整で精算されたためと考えられます。不安な場合は、勤務先の経理・人事に確認しましょう。

源泉徴収票が確定申告・還付で必要になる場面

年末調整だけで済む人でも、次のようなケースでは確定申告が必要、または有利になることがあります。

ひとつは医療費控除です。1年間の医療費が一定額を超えた場合に、確定申告で控除を受けられます。詳しくは医療費控除とは?対象・計算方法・申告のやり方をご覧ください。

もうひとつはふるさと納税です。確定申告が不要な給与所得者で寄附先が5自治体以内なら、ワンストップ特例も使えますが、確定申告をした場合はワンストップ特例が無効になり、確定申告に含める必要があります。仕組みはふるさと納税の仕組みをやさしく解説で整理しています。

このほか、住宅ローン控除の初年度や、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合なども、確定申告が関係します。自分が対象かどうかは、国税庁の案内や税務署で確認してください。

源泉徴収票を家計の見直しに活かすには

源泉徴収票は、税金の確認だけでなく、家計の見直しにも使えます。支払金額と社会保険料等の金額を並べて見ると、収入のうち、自由に使えない部分がどのくらいあるかが見えてきます。手取りの感覚をつかむための材料になります。

固定費の見直しを進めるなら、家計の固定費を見直すには?の順番も参考になります。また、突然の収入減に備えるお金の考え方は生活防衛資金とは?いくら必要?で解説しています。

よくある質問

源泉徴収票をなくしたらどうすればいい?

勤務先に再発行を依頼するのが基本です。確定申告の際に手元にない場合も、まず勤務先へ連絡しましょう。

基礎控除の欄が空欄でも問題ない?

国税庁の令和6年分の手引きでは、基礎控除が48万円の場合は記載を省略できるとされています。年分によって取り扱いが異なる可能性があるため、最新の手引きを確認してください。

転職した年は、源泉徴収票が複数ある?

はい。前の勤務先と今の勤務先の両方から受け取ります。年末調整や確定申告で前職の分をどう扱うかは、勤務先の案内や税務署で確認してください。

まとめ

源泉徴収票は、「支払金額→給与所得控除後の金額→所得控除の額の合計額→源泉徴収税額」の順に読むと理解しやすくなります。給与所得控除は収入に応じて自動で差し引かれ、年分によって控除額の計算表が変わります。

受け取ったら、控除の入りもれ、配偶者・扶養親族の欄、源泉徴収税額の3点を確認しましょう。確定申告や医療費控除、ふるさと納税を考えている人は、手元に保管しておくと手続きがスムーズです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の手続きや商品を推奨するものではありません。個別の税額や取り扱いは、勤務先・税務署・税理士にご確認ください。

出典(公式情報)

最終確認日:2026年10月22日

・国税庁「No.1410 給与所得控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
・国税庁「給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)」(法定調書の作成と提出の手引)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2024/PDF/02.pdf
・国税庁「『給与所得控除後の金額(調整控除後)』欄」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebikihtml/2-2-4.htm

※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。