年金の繰下げ受給は得?|増額率と注意点を公式情報で確認

金融

年金の繰下げ受給は、65歳で受け取らずに66歳から75歳の間で請求を遅らせ、受け取る額を増やす仕組みです。この記事では、日本年金機構の公式ページをもとに、増額率、上限、増額されない項目、待機中の注意点、みなし増額制度を整理します。個別の年金額は人によって違うため、公式の「ねんきんネット」や年金事務所で確認できる範囲だけを載せています。(最終確認日:2026年10月23日)

電卓
電卓(写真:Coyau/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)

年金の繰下げ受給とは?いつまで遅らせられる?

日本年金機構によると、老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳で受け取らず、66歳から75歳までの間で請求する時期を選べます。老齢基礎年金と老齢厚生年金を、別々に繰り下げることもできます。

なお、特別支給の老齢厚生年金には、繰下げ制度がありません。また、昭和27年4月1日以前に生まれた方などは、上限が70歳(最大42%)とされています。自分が対象かどうかは、生年月日で確認しましょう。

年金制度の全体像は、年金制度の基本の記事で整理しています。

増額率はどれくらい?何歳まで待つと得?

増額率は、1か月あたり0.7%です。65歳に達した月から、繰下げを申し出た月の前月までの月数で計算します。上限は、75歳に到達した時点の84%です。増額率は一生変わりません。

請求する年齢 増額率
66歳 8.4%
70歳 42.0%
75歳 84.0%

増額された年金を、いつ元が取れるかは、長生きできるかどうかで変わります。日本年金機構の説明では、元が取れる年齢までは示されていません。増額率だけでなく、貯蓄や仕事の収入、健康状態を考えて決めましょう。

増額されないものや、注意点は?

日本年金機構のページには、次の注意点が示されています。

  • 加給年金額と振替加算は増額の対象外で、繰下げの待機中は受け取れない
  • 在職老齢年金で支給停止される部分は、増額の対象外
  • 障害給付や遺族給付の受給権が、65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間にあると、繰下げの申出ができない
  • 66歳以後の待機中に別の公的年金の受給権が発生すると、その時点で増額率が固定される
  • 複数の老齢厚生年金がある場合は、すべて同時に繰下げ請求する必要がある
  • 繰下げ加算額は、遺族厚生年金には反映されない

年金が増えると、税金や社会保険料、医療・介護の自己負担に影響する場合があるとも案内されています。手取りで比べるには、住民税や健康保険料も含めた試算が必要です。住民税は住民税の記事、手取りの見直しは固定費の見直しの記事も参考にしてください。

待機中に亡くなった場合や、75歳を過ぎた場合は?

日本年金機構のページによると、繰下げ請求は遺族が代わって行えません。待機中に亡くなった場合は、65歳時点の額で年金が決まり、未支給年金として過去分が支払われます。

75歳を過ぎて請求しても、増額率は上がりません。ただし、増額分は75歳までさかのぼって支払われます。つまり、75歳で増額率が頭打ちになるため、それ以上待つ必要はありません。

65歳を過ぎてから請求する「みなし増額」とは?

70歳以後に、65歳からの本来の年金をさかのぼって請求した場合、請求の5年前の時点で繰下げ申出があったものとみなして、増額した年金を一括で受け取れる制度です。

ただし、80歳以後の請求や、請求の5年前以前から障害年金・遺族年金を受けられる場合は対象外です。請求を忘れていた場合などに関係する制度ですが、最初から計画して使う制度ではありません。

繰下げを選ぶか迷ったときの確認手順は?

迷ったときは、次の順番で整理しましょう。

  1. 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、65歳からの年金見込額を確認する
  2. 加給年金額などの対象外の項目が自分にあるかを確認する
  3. 65歳から繰下げ開始までの生活費を、貯蓄や仕事の収入でまかなえるか試算する
  4. 増額後の年金にかかる税金や社会保険料の増え方を、自治体や年金事務所で確認する
  5. 請求時期を決め、年金事務所で手続きの方法を確認する

繰下げは、受け取りを遅らせるほど増額率が上がる反面、受け取れる総額は寿命によって変わります。「いつまで働くか」「貯蓄はいくらあるか」を先に整理するのが近道です。国民年金の保険料の免除や納付については、国民年金の免除の記事も参考になります。

増額後の年金額はどれくらい?(仮の金額で試算)

ここでは、わかりやすくするために、65歳時点の年金額を年100万円と仮定します。実際の金額は人によって違うため、あくまで計算の練習用です。

請求する年齢 増額率 年金額(仮)
66歳 8.4% 約108.4万円
70歳 42.0% 約142.0万円
75歳 84.0% 約184.0万円

ただし、実際に増えるのは増額の対象になる部分だけです。加給年金額などは増えません。また、増額された年金にも税金と社会保険料がかかる場合があります。待機している間は年金を受け取れないため、その期間の生活費を別の収入や貯蓄でまかなえるかも、あわせて確認しましょう。

なお、早く受け取る「繰上げ受給」という選択肢もあります。繰上げは、受け取りを早める代わりに、年金額が減る仕組みです。減額の割合や注意点は、日本年金機構の公式ページで最新の内容を確認してください。

よくある質問

繰下げ受給は何歳から何歳まで選べますか?

日本年金機構によると、66歳から75歳までの間で請求時期を選べます。昭和27年4月1日以前生まれの方などは、上限が70歳です。

増額率は何%ですか?

1か月あたり0.7%で、上限は75歳到達時の84%です。66歳で請求すると8.4%、70歳で42.0%になります。

加給年金は増えますか?

日本年金機構によると、加給年金額と振替加算は増額の対象外で、繰下げの待機中は受け取れません。

75歳を過ぎて請求すると増額率は上がりますか?

上がりません。ただし、増額分は75歳までさかのぼって支払われます。

出典(公式情報):日本年金機構 年金の繰下げ受給、厚生労働省 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給(最終確認日:2026年10月23日)

まとめ:増額率だけでなく、対象外の項目と手取りも確認する

年金の繰下げ受給は、66歳から75歳の間で、1か月あたり0.7%ずつ増額され、上限は84%です。一方で、加給年金額は増額の対象外で、在職老齢年金で支給停止される部分も増えません。待機中に亡くなった場合は、65歳時点の額で決まります。税金や保険料も含めた手取りで比べ、年金事務所で個別の見込みを確認してから決めましょう。

最終確認日:2026年10月23日。制度・金額・ルールは変更されることがあります。最新の情報は、必ず上記の公式サイトでご確認ください。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・契約を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。