生命保険料控除は、生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料を払っていると、所得税の計算で所得から差し引ける制度です。1つの区分ごとの上限は原則4万円で、3区分を合わせた上限は12万円。会社員なら年末調整で、自営業の方などは確定申告で手続きします。
この記事では、国税庁の情報(令和8年4月1日現在の法令等に基づく説明)をもとに、対象になる保険、新旧制度の控除額、手続きの流れ、よくある勘違いを整理します。

生命保険料控除とは?3つの区分
生命保険料控除は、次の3つの区分に分かれています。
・一般の生命保険料(死亡保険など)
・介護医療保険料(医療保険や介護保険など)
・個人年金保険料(一定の条件を満たす年金保険)
注意したいのは、「控除」は税金そのものが減るのではなく、税金のもとになる所得が減るという点です。実際に軽くなる税額は、所得税率や住民税の仕組みによって人それぞれ変わります。住民税の考え方は住民税とは?税率・納め方もあわせてどうぞ。
新契約と旧契約の違い
控除額の計算は、契約した時期で2つに分かれます。
・新契約:平成24年(2012年)1月1日以後に締結した契約
・旧契約:平成23年(2011年)12月31日以前に締結した契約
同じ人が両方を持っていることもあります。その場合の計算は後ほど説明します。保険証券や保険会社から届く証明書で、契約日を確認してみましょう。
新契約の控除額はいくら?
新契約(新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料)の控除額は、1年間に支払った保険料に応じて次のとおりです。
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 全額 |
| 2万円超〜4万円以下 | 支払額×1/2+1万円 |
| 4万円超〜8万円以下 | 支払額×1/4+2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
たとえば、新契約の生命保険料を年6万円払っている場合は、6万円×1/4+2万円で、控除額は3万5,000円です。介護医療保険料を年3万円払っているなら、3万円×1/2+1万円で2万5,000円になります。
令和8年分から:23歳未満の扶養親族がいる場合
国税庁の案内では、令和8年分以降、23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料については、次の表で計算するとされています。
| 年間の新生命保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 3万円以下 | 全額 |
| 3万円超〜6万円以下 | 支払額×1/2+1万5,000円 |
| 6万円超〜12万円以下 | 支払額×1/4+3万円 |
| 12万円超 | 一律6万円 |
※この特例は新生命保険料(一般の生命保険)が対象です。介護医療保険料や個人年金保険料の上限は変わりません。該当するかどうかは、年末調整の書類や国税庁のページで確認してください。
旧契約の控除額はいくら?
旧契約(旧生命保険料・旧個人年金保険料)は、新契約より区切りの金額が少し大きく、上限は5万円です。
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 2万5,000円以下 | 全額 |
| 2万5,000円超〜5万円以下 | 支払額×1/2+1万2,500円 |
| 5万円超〜10万円以下 | 支払額×1/4+2万5,000円 |
| 10万円超 | 一律5万円 |
なお、旧契約の医療保険や介護保険(第三分野)の保険料も、旧生命保険料に含めて計算します。
新旧両方に入っているときは?
一般の生命保険料と個人年金保険料は、新旧の契約が混ざっていると次のルールで計算します。
・旧契約の保険料が年6万円を超える場合:旧契約の計算による金額(最高5万円)。
・旧契約の保険料が年6万円以下の場合:新契約と旧契約それぞれの計算額の合計(最高4万円)。
3つの区分の控除額を合計して、上限は12万円です。たとえば、23歳未満の扶養親族がいて新生命保険料が高い場合でも、合計が12万円を超える分は控除されません。
対象外になる保険と個人年金の条件
保険期間が5年未満の貯蓄保険などは、対象外とされています。また、国外で外国保険会社などと結んだ契約も対象外です。
個人年金保険料控除は、特に条件が細かい区分です。2012年1月1日以後に結んだ契約(新個人年金保険料)では、次の3つをすべて満たす必要があります。
1. 年金の受取人が、保険料の払込者本人またはその配偶者であること。
2. 年金の支払開始まで、10年以上にわたって定期的に保険料を払い込むこと。
3. 原則として、受取人が60歳以降に受け取る、10年以上の定期年金または終身年金であること。
対象かどうかは、保険会社から届く証明書で確認できます。判断に迷うときは、保険会社や税務署に問い合わせるのが確実です。
手続きの流れ|年末調整と確定申告
会社員の方は、秋ごろに配られる「保険料控除申告書」に保険会社の証明書の内容を書き、勤務先に提出します(年末調整とは?必要な書類を参照)。自営業の方や、年末調整で申告し忘れた方は、確定申告で手続きします。流れは確定申告の基本にまとめています。
確定申告では、控除証明書または電磁的記録印刷書面を添付するか、提出時に提示します。ただし、旧契約で年間の保険料が9,000円以下のものは、添付や提示は不要です。年末調整で控除を受けた分も同様です。
「支払保険料」の計算で気をつけたい点
控除の計算に使う金額は、その年に実際に払った保険料から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた額です。契約に特約がついている場合は、保障の内容に応じて区分に振り分けられます。複数の保障がある契約は、主な保障内容で判定されます。
毎年届く証明書に、区分ごとの金額が載っているので、基本はその数字をそのまま転記すれば大丈夫です。なお、国税庁は、年末調整で控除を受けた分については、確定申告のときに証明書の添付や提示は不要としています。申告の前に、勤務先で控除済みかどうかも確認しておきましょう。
保険料の見直しにつなげるには
控除があるからといって、保険に入りすぎるのは本末転倒です。控除で軽くなる税額は、払った保険料の一部にすぎません。まずは公的制度で何が守られるかを把握し、そのうえで不足分を考えるのが基本です。高額療養費制度や傷病手当金の内容を確認すると、必要な保障額を考える材料になります。固定費全体の見直しは家計の固定費を見直すには?が参考になります。
よくある質問
保険料を払っているのは配偶者です。自分の控除にできる?
国税庁には契約者が配偶者の場合などのQ&Aが用意されています。個別の事情によって扱いが変わるため、国税庁のQ&Aか税務署でご確認ください。
医療費控除とは別物?
はい、別の制度です。医療費控除は、払った医療費が一定額を超えたときに使えます(医療費控除とは?)。保険料控除とは併用できます。
控除を受け忘れたらどうなる?
手続きの方法や期限は状況によって異なります。国税庁の案内か税務署でご確認ください。
まとめ
生命保険料控除は、3つの区分を合わせて最大12万円まで所得から差し引ける制度です。まずは手元の証明書で、契約日が新旧どちらかと、区分ごとの支払額を確認しましょう。秋の年末調整の書類が届いたら、この記事の表と見比べながら記入してみてください。
出典(最終確認日:2026年10月24日)
・国税庁|No.1140 生命保険料控除
・国税庁|No.1141 個人年金保険料控除
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の加入や税務上の判断を推奨するものではありません。制度は変更されることがあります。個別の事情は、税務署・保険会社・税理士などにご確認ください。
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