※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含む場合があります。最新の条件は各社の公式サイトでご確認ください。
病気やけがで入院すると、医療費がいくらかかるか不安になりますよね。民間の医療保険に入るべきか迷っている人も多いはず。その前に、日本には「高額療養費制度」という公的な制度があることを知っておきたいところです。
この記事では、厚生労働省の資料をもとに、制度の仕組みと使い方を整理します。
高額療養費制度とは?
医療機関や薬局の窓口で支払った自己負担額が、1か月(月の初めから終わりまで)の上限額を超えた場合、超えた分が支給される制度です。保険診療の自己負担が対象になります。
上限額は、年齢や所得によって、区分が分かれています。そのため、人によって上限額は違います。
対象にならない費用
次のような費用は、高額療養費の対象外です(厚生労働省の資料より)。
- 食事代、居住費(入院時の食費など)
- 差額ベッド代
- 先進医療の費用
- 保険適用外の診療
入院すると、これらの費用が、別にかかる点に注意が必要です。
負担をさらに軽くする仕組み
世帯合算
同じ医療保険に加入している世帯内で、1か月の自己負担額を合算できる場合があります。69歳以下の場合は、1回あたり21,000円以上の自己負担のみが、合算の対象とされています。
多数回該当
過去12か月以内に、上限額に達した月が3回以上ある場合、4回目から上限額が下がる仕組みです。長期の治療では、負担が軽くなります。
事前に「限度額適用認定証」を使うと、窓口の支払いが抑えられる
高額療養費は、通常、いったん窓口で支払った後で、申請して払い戻されます。支給までは、受診月から少なくとも3か月程度かかります。
入院などで、高額になりそうな時は、事前に「限度額適用認定証」の交付を受けて、窓口で提示すると、窓口での支払いを、上限額までに抑えられます。加入している医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)に、申請します。
なお、制度の運用では、マイナ保険証などを使って、認定証がなくても、窓口の負担を上限額に抑えられる仕組みも広がっています。最新の方法は、加入している医療保険や、医療機関で確認してください。
2026年8月から、制度が一部見直されています
厚生労働省と協会けんぽの案内によると、高額療養費制度は、令和8年(2026年)8月から見直されています。主なポイントは次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年8月〜 | 月ごとの自己負担の上限額を見直し。あわせて、8月から翌年7月までの12か月間で上限を設ける「年間上限」を新設 |
| 2026年8月〜 | 年間上限を超えた分は、加入している医療保険者から還付を受けられる |
| 2026年8月〜 | 多数回該当(4か月目以降の上限額)の金額は据え置き |
| 2027年8月〜 | 所得区分を細分化。年収200万円未満の課税世帯の多数回該当の金額を25%引き下げ |
厚生労働省の例では、年収約370万〜約510万円の人が、医療費100万円の治療を受けた場合、2026年8月以降の自己負担は約9.3万円までに抑えられます。区分ごとの上限額や年間上限額は、年齢・所得で異なるため、金額の一覧は厚生労働省・協会けんぽなどの公式ページで確認してください。
自分がどの所得区分にあたるかは、マイナポータルの「健康保険証」の画面(限度額適用認定証関連の情報)や、勤務先から届く資料などで確認できます。
年間上限のしくみと、気をつけたい点
年間上限は、「その年の1月〜12月」ではなく、毎年8月〜翌年7月の12か月で数えます。長く通院する人にとって、月ごとの上限に加えて、年単位での歯止めがかかる形です。
制度の運用の細かい部分(還付の手続きの方法、標準報酬月額が低い人の扱いなど)は、加入している保険者によって案内が異なる場合があります。協会けんぽの案内では、標準報酬月額15万円以下の人は、年間上限41万円を適用し、2027年8月以降に償還払いとなる、とされています。自分の場合の手続きは、加入先の窓口に確認しましょう。
具体的な上限額は、最新の情報で確認を
上限額は、年齢・所得の区分ごとに決まっており、制度の見直しが行われることもあります。この記事では、具体的な金額は載せていません。最新の上限額は、厚生労働省や、加入している医療保険の公式サイトで、必ず確認してください。
民間の医療保険は必要?考え方の整理
民間の医療保険が必要かどうかは、人によって違います。判断の材料として、次の点を考えてみましょう。
- 公的制度(高額療養費制度など)で、どこまでカバーされるか
- 公的制度の対象外になる費用(差額ベッド代、先進医療、食事代など)を、自分で払えるか
- 貯蓄(生活防衛資金)で、どこまで備えられるか
- 仕事を休んだ時の収入の減少を、どうカバーするか
貯蓄が十分あれば、民間の保険は少なめで済む、という考え方もあります。逆に、貯蓄が少ない場合は、備えとして検討する人もいます。保険に入る場合は、保障内容と保険料を、よく比べましょう。
海外での医療費は、日本の制度の対象外になることに注意
日本の健康保険は、海外での診療では、基本的に同じようには使えません。海外で病気やけがをした時の費用は、自己負担が大きくなります。そのために、海外旅行保険が重要です(海外で病院にかかる時の流れ)。
申請の流れ
- 医療機関の窓口で、自己負担分を支払う(または限度額適用の手続きをする)
- 加入している医療保険に、高額療養費の支給申請をする
- 審査後、払い戻しを受ける
申請の期限は、診療を受けた月の翌月の初日から2年とされています。申請先や必要書類は、加入している保険(協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険など)によって違うため、窓口に確認してください。
加入している保険によって、上乗せの制度がある場合も
健康保険組合などによっては、独自に「付加給付」という上乗せの制度を設けている場合があります。自己負担がさらに抑えられることもあるため、勤務先の健康保険の案内を確認しておくとよいでしょう。
収入が減ったときの備えも考える
長期の入院や療養では、医療費だけでなく、働けない期間の収入も問題になります。会社員の場合は、傷病手当金の制度がある場合があります。自営業の場合は、制度が異なります。こうした公的制度を確認したうえで、民間の保険を検討すると、無駄の少ない備えにつながります。
生活防衛資金との関係
制度の対象外の費用や、一時的な立て替え費用に備えるためにも、手元に現金を置いておくことが大切です。目安や考え方は、「生活防衛資金とは?」で解説しています。
まとめ:まず公的制度を知り、足りない部分を考える
高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限を設ける、重要な公的制度です。この制度でカバーされない部分を、貯蓄や民間の保険で、どう備えるかを考えると、無理のない保険選びができます。
参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」、協会けんぽ「令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」等。最終確認日:2026年10月21日。制度は変更されることがあるため、最新の情報は厚生労働省や加入している医療保険の公式サイトでご確認ください。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・契約を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。