特定口座とは?源泉徴収あり・なしの違いと選び方

証券・NISA

証券会社で口座を開くとき、「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」のどれにするか聞かれて、手が止まった経験はありませんか。実はこの選択で、確定申告が必要かどうか、手間がどれだけ変わるかが決まります。

この記事では、国税庁のタックスアンサーをもとに、特定口座の仕組みと選び方を整理します。※NISA口座内の取引は課税されませんが、それ以外の口座(課税口座)での株式や投資信託の取引が、この記事の対象です。

東京証券取引所の内部
東京証券取引所の内部(写真:Wpcpey/Wikimedia Commons/CC BY 4.0)

特定口座とは?一般口座との違い

株式や投資信託を売って利益(譲渡益)が出ると、税金がかかります。その利益を計算するのは本来、自分自身ですが、特定口座では証券会社が年間の取引の損益を計算して、「年間取引報告書」にまとめてくれるので、手間が大きく減ります。

口座の種類 損益の計算 税金の納め方
特定口座(源泉徴収あり) 証券会社が計算 証券会社が源泉徴収して納付。原則、申告不要を選べる
特定口座(源泉徴収なし) 証券会社が計算(年間取引報告書を発行) 自分で確定申告して納める
一般口座 自分で計算 自分で確定申告して納める

初めて口座を開く人には、手間が少ない「特定口座(源泉徴収あり)」が選ばれることが多いです。ただし、それぞれにメリットと注意点があるため、次の章で確認しましょう。

源泉徴収ありの口座では、税金はどう引かれる?

源泉徴収ありを選ぶと、株式などを売って利益が出たとき、証券会社が税金をあらかじめ差し引いて納めてくれます。国税庁の情報では、税率は所得税・復興特別所得税が15.315%、住民税が5%で、合計20.315%です。

この口座を使うには、年初の最初の取引の前に、証券会社に「特定口座源泉徴収選択届出書」を提出する必要があります。口座開設時に選択する形が一般的ですが、あとから変更する場合は、時期に注意が必要です。

なお、国税庁の情報では、2027年1月1日からは復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、防衛特別所得税(源泉所得税の1%)が加わる、と案内されています。実際の税率の扱いは、国税庁の最新の案内で確認してください。

申告が不要になる?必要になる?

源泉徴収ありの特定口座の譲渡益は、確定申告をしない(申告不要)ことを選べます。会社員で、年末調整で給与の税金が済んでいる人なら、証券口座の利益について、改めて申告しなくてよい場合が多いです。

やりたいこと 申告は?
源泉徴収ありの口座で、利益はそのまま納税で完了したい 申告不要でよい
損失が出た年に、他の年の利益と相殺したい(損益通算・繰越控除) 確定申告が必要
複数の口座の損益をまとめたい(損益通算) 確定申告が必要
源泉徴収なしの口座で利益が出た 確定申告が必要(一定の条件の場合)

損失が出たときは、確定申告をして損益通算や繰越控除を使うと、将来の利益にかかる税金を減らせる場合があります。損益通算は、複数の口座の損益をまとめるときにも関わります。確定申告の基本は「確定申告の基本」を参考にしてください。

配当金はどうなる?

特定口座の中で、上場株式の配当金を受け取る場合、配当も同じ口座で処理する方法があります。源泉徴収ありの口座で配当を受け取るには、「源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書」を提出する必要があります。

配当金の課税方法は、配当の種類や選び方によって変わります。配当金の課税方式の違いは、別の記事「配当金にかかる税金は?」で詳しく整理しています。

損益の計算:上場株式等と一般株式等は別

国税庁の情報では、上場株式等と一般株式等(非上場株式など)は、分離して損益を計算し、お互いに損益通算できません。通常、多くの人が扱うのは上場株式や投資信託なので、まずは上場株式等の枠で考えれば十分です。

選び方のポイント

口座の選び方は、次の観点で整理できます。

  • 手間を減らしたい:特定口座(源泉徴収あり)で、申告不要を選ぶ
  • 複数の証券会社を使う予定:損益通算をしたい場合は、確定申告が必要になる
  • 損失が出たときに備えたい:確定申告で繰越控除を使える
  • NISAを併用する:NISA口座は非課税。課税口座は特定口座が一般的

新NISAの口座の選び方は、「新NISAとは?」と「NISA口座の選び方」で整理しています。NISAの枠を使い切ったあとで、課税口座として特定口座を使う人も多いです。

よくある失敗と、その防ぎ方

  • 届出の時期を逃す:源泉徴収ありを使うには、年初の最初の取引の前に届出が必要
  • 「申告不要」と「申告できない」を混同する:申告不要は選択で、申告したい人は申告できる
  • 年間取引報告書を保管しない:確定申告のときに必要になる
  • 口座の種類を確認せずに売買する:開設時にどの口座かを確認する

例で理解する:利益が出た年と、損失が出た年

仮の数字で、特定口座(源泉徴収あり)の動きを見てみましょう(金額は説明のための例です)。

年 その年の損益 手続きのイメージ
1年目 利益が10万円 証券会社が税金を源泉徴収。申告不要を選べば、そのまま完了
2年目 損失が5万円 申告をしなければ、そのまま。申告すれば、損失を翌年以降に繰り越せる
3年目 利益が8万円 2年目の損失を繰り越していれば、利益と相殺できる(申告が必要)

損失の繰越控除は、損失が出た年に確定申告をしておくことが前提です。「いつか使うかもしれない」と思う人は、申告の手間と効果を比べて判断しましょう。

口座を開くときの流れ

  1. 証券会社の口座開設の画面で、口座の種類(特定口座・源泉徴収の有無)を選ぶ
  2. 本人確認書類とマイナンバーの確認を済ませる
  3. 口座が開設されたら、NISA口座の申し込み状況も確認する
  4. 毎年、年間取引報告書が届いたら、保管しておく

口座開設の画面では、デフォルトで「特定口座(源泉徴収あり)」が選ばれていることもありますが、必ず自分で選択内容を確認しましょう。

よくある質問

特定口座は、必ず作らないといけませんか?

必須ではありません。一般口座を選ぶこともできます。ただし、一般口座は損益を自分で計算する必要があり、手間が大きくなります。

源泉徴収ありから、なしに変更できますか?

変更できる場合がありますが、時期や手続きに条件があります。変更を考えるときは、証券会社に確認してください。

損失が出た年は、何もしなくていいですか?

何もしなくても問題はありません。ただし、損失を翌年以降に繰り越して利益と相殺したい場合は、確定申告が必要です。

出典(公式情報):国税庁 タックスアンサー No.1476、国税庁 No.1463(最終確認日:2026年10月23日)

まとめ:手間を減らすなら源泉徴収あり、損益通算なら申告

特定口座は、証券会社が損益を計算してくれる口座です。源泉徴収ありなら、申告不要を選べます。損失の繰越控除や口座をまたぐ損益通算をしたい場合は、確定申告が必要です。自分の取引の使い方に合う口座を選びましょう。

最終確認日:2026年10月23日。制度・金額・ルールは変更されることがあります。最新の情報は、必ず上記の公式サイトでご確認ください。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・契約を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

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