失業保険(正式には雇用保険の基本手当)は、離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あり、働く意思と能力があるのに仕事に就けない人が受け取れる給付です。退職してすぐに振り込まれるわけではなく、ハローワークでの手続き、7日間の待期、自己都合退職の場合は給付制限と、いくつかの段階を経てから支給が始まります。この記事では、厚生労働省とハローワークインターネットサービスの公式情報をもとに、もらえる条件、日数、金額の考え方、手続きの流れ、再就職手当までを整理します。金額や制度は変わることがあるため、最終的には公式ページとお近くのハローワークで確認してください。(最終確認日:2026年10月25日)
失業保険(基本手当)をもらえる人の条件は?
ハローワークインターネットサービスの「よくあるご質問」では、基本手当を受け取るための条件として、大きく2つが示されています。1つ目は、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算して12か月以上あること。2つ目は、失業の状態にあることです。ここでいう失業とは、就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力があり、積極的に仕事を探しているのに、まだ職に就けない状態を指します。
そのため、病気やけがですぐには働けない場合、家事や育児に専念したい場合、しばらく休養したい場合などは、失業の状態には当たりません。この点は、傷病手当金など別の制度と役割が分かれています。病気で働けない期間の備えについては、傷病手当金の記事もあわせて確認してください。
被保険者期間はどう数える?
被保険者期間は、離職の日から1か月ごとに区切って数えます。区切った各期間のうち、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月、または賃金の支払いの基礎になった時間数が80時間以上ある月を、被保険者期間の1か月として扱う、とハローワークの案内に書かれています。短時間勤務の人でも、時間数の基準で数えられる場合があります。
倒産・解雇や契約満了の場合は条件がゆるくなる?
倒産や解雇などで離職した「特定受給資格者」と、期間の定めのある契約が更新されなかったことなどによる一部の「特定理由離職者」は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格を得られます。自己都合で退職した場合の「2年間で12か月以上」より、条件が緩やかです。どの区分になるかは、離職票に書かれた離職理由をもとにハローワークが判断します。
退職してから受け取るまでの流れは?
基本手当は、手続きを始めた日から数えて、いくつかの期間を経てから支給されます。ハローワークと厚生労働省のQ&Aに書かれている流れを、順番に表にまとめました。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 求職の申込み | 住所地を管轄するハローワークに離職票などを持って行き、求職の申込みをする。受給資格が決まる日が「受給資格決定日」になる |
| 2. 待期期間(7日間) | 受給資格決定日から通算7日間。離職の理由にかかわらず、全員に適用される。この間は基本手当が出ない |
| 3. 給付制限(自己都合のみ) | 正当な理由のない自己都合退職の場合、待期満了の翌日から原則1か月は基本手当が支給されない(離職日が令和7年4月1日以降の場合) |
| 4. 失業の認定 | 原則として4週間に1回、ハローワークに来所して「失業の認定」を受ける。求職活動の実績が必要 |
| 5. 基本手当の支給 | 失業の認定を受けた日数分が、指定した口座に振り込まれる |
ポイントは、退職の理由によって、実際に振り込まれるまでの期間が変わることです。会社都合の場合は、7日間の待期が終われば支給の対象になります。自己都合の場合は、待期の7日間に加えて、原則1か月の給付制限があります。厚生労働省のQ&Aによると、給付制限は、離職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、同年3月31日以前なら原則2か月とされています。
給付制限が3か月になるのはどんな場合?
厚生労働省のQ&Aでは、離職の日から遡って5年間に、正当な理由なく自己都合で離職して受給資格の決定を受けたことが2回以上ある場合や、重責解雇の場合は、給付制限が3か月になると案内されています。また、ハローワークの紹介する仕事や、指示された職業訓練などを正当な理由なく断った場合は、断った日から1か月間、基本手当が支給されません。
何日分もらえる?所定給付日数の目安
基本手当を受け取れる日数の上限を「所定給付日数」と呼びます。日数は、離職の理由、年齢、被保険者であった期間によって決まります。ハローワークインターネットサービスに載っている、一般の離職者(自己都合退職などを含む)の日数は、次のとおりです。
| 被保険者であった期間 | 所定給付日数(全年齢) |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
一方、倒産・解雇などによる特定受給資格者や、一部の特定理由離職者は、年齢と被保険者期間の組み合わせで日数が決まり、公式ページの表では90日から最大330日までの幅があります。たとえば45歳以上60歳未満で被保険者期間が20年以上の場合は330日です。年齢区分ごとの細かい日数は表が大きいため、ご自身の区分は、必ずハローワークインターネットサービスの「基本手当の所定給付日数」のページで確認してください。就職が難しい人(障害のある人など)には、別の日数が定められています。
※所定給付日数は「最大でこの日数分まで受け取れる」という上限です。受給期間中に再就職が決まれば、残りの日数分は支給されません。
いくらもらえる?基本手当日額の考え方
1日あたりの金額である基本手当日額は、厚生労働省のQ&Aによると、「離職前6か月に支払われた給与(賞与を除く)の総額÷180」で求める賃金日額に、給付率(おおむね45%から80%)をかけて計算します。基本手当日額には上限額と下限額があり、最新の金額は厚生労働省の公式ページで確認してください。
同じQ&Aには、おおよその目安として、離職前の平均月額が15万円の場合は月11.2万円程度、20万円の場合は月13.9万円程度、30万円の場合は月17.3万円程度という例が示されています(60歳から65歳未満で離職した場合は、一部低くなります)。
| 離職前の平均月額(給与) | 基本手当の月額の目安 |
|---|---|
| 15万円 | 約11.2万円 |
| 20万円 | 約13.9万円 |
| 30万円 | 約17.3万円 |
退職前の給料の全額が出るわけではないと考えておくと、生活費の計画を立てやすくなります。退職後は、住民税や国民年金、健康保険料などの支払いも続きます。固定費の見直しは家計の固定費を見直す記事を、手元に置いておくお金の目安は生活防衛資金の記事を参考にしてください。
受給期間は1年?延長できるケースは?
基本手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職の日の翌日から1年間です。所定給付日数が残っていても、この1年を過ぎると受け取れなくなります。ハローワークの案内では、病気やけが、妊娠・出産・育児、親族の介護などの理由で引き続き30日以上働けなくなった場合は、受給期間を最大3年間(元の1年を含めて)まで延ばせるとされています。延長の申請には期限があるため、働けなくなったら早めにハローワークに相談しましょう。
また、60歳以上の定年退職などの場合は、離職の日の翌日から2か月以内に申し出れば、すぐに求職しない期間(最長1年)の分だけ、受給期間を延ばせる制度もあります。
再就職手当とは?早く決まるともらえる?
所定給付日数を3分の1以上残して、安定した職業に就いた場合に支給されるのが再就職手当です。厚生労働省のQ&Aによると、支給額は「基本手当日額×所定給付日数の残日数×支給率」で、残日数が所定給付日数の3分の2以上なら支給率70%、3分の1以上なら60%です。基本手当日額には上限があります。
手当をもらうには、待期期間が満了したあとに就職したこと、1年を超えて勤務することが確実であること、以前の事業主に再び雇われたのではないことなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。要件の詳細は同Q&Aのページに載っています。
手続きの前に確認しておきたいことは?
- 勤め先から「離職票」が届くまでの時間を見込み、届かない場合は早めに会社へ連絡する
- 離職票に書かれた離職理由に、事実と違う点がないか確認する
- 退職後の住民税の納め方を確認する(住民税の記事)
- 退職金を受け取る場合は、税金の扱いを確認する(退職金の税金の記事)
- 国民年金の保険料の納付が難しいときは、免除や猶予の制度を確認する(国民年金の免除・納付猶予の記事)
※受給中にアルバイトなどで働いた場合の扱いは、ハローワークで決められた方法で申告が必要です。自己判断せず、認定日にハローワークへ相談してください。
よくある質問
自己都合で辞めた場合、いつからもらえますか?
受給資格の決定後、7日間の待期期間が終わり、さらに原則1か月の給付制限(離職日が令和7年4月1日以降の場合)が終わってから、基本手当の支給対象になります。実際の振込は、失業の認定を受けたあとです。
手続きはどこで行いますか?
住所地を管轄するハローワークで、求職の申込みを行います。その後も、原則4週間に1回、認定日にハローワークで失業の認定を受けます。
退職してから何か月以内に手続きすればいいですか?
受給期間が離職の日の翌日から1年間のため、遅くなるほど受け取れる日数が減るおそれがあります。離職票が届いたら、早めに手続きしましょう。
パートや契約社員でももらえますか?
雇用保険の被保険者であり、被保険者期間などの条件を満たせば対象です。月の勤務日数や時間数の数え方に決まりがあるため、勤め先やハローワークで確認してください。
まとめ:条件・待期・給付制限・日数の4点を先に確認する
失業保険(基本手当)は、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上あり、失業の状態にある人が受け取れる給付です。自己都合退職では、7日間の待期に加えて、原則1か月の給付制限があります。日数は、離職の理由・年齢・被保険者期間で決まり、一般の離職者は90日から150日です。金額は、離職前6か月の給与をもとにした計算で決まります。退職が決まったら、離職票の受け取りと、ハローワークでの手続きの時期を早めに確認しましょう。
最終確認日:2026年10月25日。制度・金額・ルールは変更されることがあります。最新の情報は、必ず上記の公式サイトでご確認ください。この記事は一般的な情報の整理であり、特定の商品やサービスの利用をすすめるものではありません。個別の受給資格や金額は、ハローワークでご確認ください。
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出典(公式情報):ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数、ハローワークインターネットサービス よくあるご質問(雇用保険について)、厚生労働省 Q&A(基本手当、再就職手当)(最終確認日:2026年10月25日)