配当金の税金|総合課税・申告分離・申告不要の違い

証券・NISA

株式を持っていると受け取れる配当金。口座に振り込まれた金額が、思っていたより少なくて驚いた、という声はよく聞きます。それは、配当金から税金があらかじめ引かれている(源泉徴収されている)ためです。

さらに、配当金の税金には、「確定申告をする・しない」で、最終的な税負担が変わる場合があります。この記事では、国税庁のタックスアンサー(No.1330、No.1331)をもとに、配当金の課税方法を整理します。※実際の税額は個人の所得状況で変わるため、迷うときは税務署や税理士に相談してください。

東京証券取引所の内部
東京証券取引所の内部(写真:Wpcpey/Wikimedia Commons/CC BY 4.0)

配当金にかかる税金の基本

配当金を受け取るときは、支払いの段階で、税金が源泉徴収されます。国税庁の情報では、上場株式等の配当の源泉徴収税率は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)です。非上場株式などの場合は、20.42%とされています。

種類 源泉徴収の税率
上場株式等の配当 20.315%
非上場株式等の配当 20.42%

つまり、上場株式の配当金が1万円の場合、税金として約2,031円が引かれ、手取りは約7,969円になる、という計算です(説明のための例)。

3つの課税方法:どう選ぶ?

配当金の課税方法には、次の3つがあります。

課税方法 内容 申告
総合課税 ほかの所得と合算して税額を計算する。配当控除が受けられる場合がある 必要
申告分離課税 上場株式等の配当を、ほかの所得と分けて、一定の税率で計算する 必要
申告不要 源泉徴収だけで納税を完了する 不要

どれを選ぶかによって、最終的に払う税金や、受けられる控除が変わります。会社員で、年末調整が済んでいる場合、多くの人は申告不要を選びますが、所得の状況によっては、申告したほうが有利になる場合もあります。

申告不要を選べる?条件は

国税庁の情報では、上場株式等の配当は、金額にかかわらず、申告不要を選べます(大口株主=持株割合3%以上などを除く)。非上場株式などの少額配当は、「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下であれば、申告不要を選べます。

注意したいのは、申告不要を選ぶと、源泉徴収された税額を、確定申告で控除できない点です。たとえば、ほかの所得が少なくて、税率が20.315%より低くなる人は、申告をしたほうが、税金が戻る場合もあります。

申告したほうが得になるのは?

次のような場合は、確定申告をして、課税方法を選ぶことを検討する価値があります。

  • ほかの所得が少なく、税率が低い(配当控除が使える総合課税が有利になる場合がある)
  • 同じ年に株式の売却損が出ていて、配当と損益通算したい(申告分離課税を選ぶ場合)
  • 特定口座で、配当を受け入れている(源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書を提出済みの場合)

損益通算や特定口座の仕組みは、「特定口座とは?」で詳しく解説しています。確定申告の基本は「確定申告の基本」を参考にしてください。

ただし、申告することで、国民健康保険料や扶養の判定など、税金以外の負担が変わる場合もあります。申告の前に、影響を確認しておきましょう。

NISA口座の配当は、どうなる?

新NISAの口座で受け取る配当は、非課税の対象です。ただし、海外の株式の配当では、現地で課税される場合があり、日本で非課税になっても、外国での課税分は戻らないことがあります。詳細は、取り扱う証券会社や金融庁の案内で確認してください。新NISAの基本は「新NISAとは?」で整理しています。

手続きの流れ

  1. 配当金の受け取り方法(株式数比例配分方式など)を、証券会社で確認する
  2. 年間取引報告書で、配当と税額を確認する
  3. 申告不要にするか、申告するかを、ほかの所得とあわせて検討する
  4. 申告する場合は、確定申告書に配当の内容を記載する

配当の受取方法によって、申告不要を選べるかどうかが変わる場合があります。受取方法は、証券会社で事前に確認しておきましょう。

よくある失敗と、その防ぎ方

  • 申告不要にして、源泉徴収された税金が戻らない:税額を比べて決める
  • 申告したことで、保険料や扶養に影響:事前に確認
  • 配当の受取方法を確認しない:受取方法で、申告の扱いが変わる場合
  • 外国株式の外国税額を考慮しない:二重に課税される場合がある

具体例で比べる:申告不要と申告のどちらが有利?

考え方を理解するために、仮の数字で見てみましょう(説明のための例で、実際の税額は個人の状況で変わります)。上場株式の配当が10万円あったとします。

選び方 税金の考え方 ポイント
申告不要 源泉徴収された約2万円で納税が完了 手間がかからない。源泉徴収された税額は戻らない
申告分離課税 配当を分離して、一定の税率で計算 株式の譲渡損と損益通算できる場合がある
総合課税 ほかの所得と合算して税額を計算 配当控除が使える場合がある。所得が多いと税率が上がる

ほかの所得が少ない人は、総合課税や申告分離課税を選ぶことで、源泉徴収された税金の一部が戻る場合があります。反対に、所得が多い人は、総合課税にすると税負担が大きくなることもあります。どれが有利かは、実際の所得の金額で計算して確認してください。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で試算することもできます。

配当金を受け取るときの確認リスト

  • 受け取る配当は、上場株式か、非上場株式か、投資信託の分配金か
  • 配当の受取方法は、どれになっているか
  • 特定口座で、配当を受け入れる届出をしているか
  • ほかの所得(給与、副業、年金など)は、いくらか
  • 申告することで、保険料や扶養の判定に影響しないか

配当や分配金は、毎年同じ金額とは限りません。年間取引報告書や、証券会社から届く配当金の通知書は、確定申告のときに必要になるため、保管しておきましょう。

よくある質問

配当金が少額でも、申告は必要ですか?

上場株式等の配当は、金額にかかわらず申告不要を選べます。ただし、申告したほうが有利な場合もあるため、税額を比べて判断しましょう。

総合課税と申告分離課税は、どちらが得ですか?

所得の状況で変わります。総合課税は配当控除が使える場合があり、申告分離課税は損益通算ができます。

特定口座で配当を受け取ると、何が変わりますか?

源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書を提出すると、配当を特定口座内で処理でき、申告の手間が減ります。

出典(公式情報):国税庁 タックスアンサー No.1330、国税庁 No.1331(最終確認日:2026年10月23日)

まとめ:申告不要は便利だが、税額は比べてから

配当金は、受け取る時点で税金が源泉徴収されます。上場株式等の配当は、20.315%が引かれ、申告不要を選べます。ただし、申告不要を選ぶと、源泉徴収された税額は控除できません。所得の状況に応じて、申告したほうが有利か、比べてから決めましょう。

最終確認日:2026年10月23日。制度・金額・ルールは変更されることがあります。最新の情報は、必ず上記の公式サイトでご確認ください。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・契約を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

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