国民年金の免除・納付猶予|対象者・年金額・追納

金融

収入が少ない時期や、失業したとき、国民年金の保険料を納めるのが厳しい、ということがあります。そのとき、保険料を払わずに放っておくと、将来の年金が受け取れなくなるおそれがあります。そこで知っておきたいのが、国民年金の「免除」と「納付猶予」です。

この記事では、日本年金機構の公式ページをもとに、免除・納付猶予の種類、所得の基準、年金額への影響、追納の仕組みを整理します。※学生の場合は「学生納付特例」という別の制度があるため、後半で触れます。

電卓
電卓(写真:Coyau/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)

免除と納付猶予は、何のための制度?

国民年金の保険料を納めるのが経済的に難しいとき、申請して認められれば、保険料の全部または一部が免除されたり、納付が猶予されたりします。未納のままにするのと違い、免除や猶予の期間は、年金を受け取るための資格期間に算入される、というのが大きなポイントです。

未納のままだと、受給資格期間に算入されず、万が一の障害や死亡のときの年金(障害基礎年金・遺族基礎年金)が受けられなくなるおそれもあります。保険料の納付が難しいときは、放置せず、まず申請を検討しましょう。年金制度の全体像は「公的年金の基本」で整理しています。

種類:全額免除、一部免除、納付猶予

日本年金機構の案内では、免除には全額・4分の3・半額・4分の1の4種類があります。納付猶予は、20歳以上50歳未満の人が対象です。

制度 内容
全額免除 保険料の全額が免除される
4分の3免除 保険料の4分の1を納める
半額免除 保険料の半額を納める
4分の1免除 保険料の4分の3を納める
納付猶予 20歳以上50歳未満の人が、納付を猶予される

一部免除の場合は、決められた額を納めないと、その期間は未納扱いになります。納めるべき額は、日本年金機構のページで確認しましょう。

所得の基準:目安はこう決まる

免除・猶予が認められるかは、本人・配偶者・世帯主の前年所得(1月から6月までの申請の場合は前々年所得)が、基準以下かで判断されます。

区分 所得の目安(扶養親族等の数に応じて計算)
全額免除・納付猶予 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額等
半額免除 128万円+扶養親族等控除額等
4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額等

たとえば、扶養親族がいない場合の全額免除の目安は、(0+1)×35万円+32万円=67万円という計算になります(説明のための例です)。実際は、控除などの条件があるため、日本年金機構のページや年金事務所で確認してください。

失業した場合などは、「失業等による特例免除」という、所得の基準を一部緩やかに扱う特例もあります。該当しそうなときは、年金事務所や市区町村の窓口で相談しましょう。

将来の年金額には、どう影響する?

免除や猶予を受けた期間は、年金を受け取れる資格期間にはカウントされますが、年金額への反映は、免除の種類で異なります。

種類 年金額への反映(老齢基礎年金)
全額免除 2分の1(国庫負担分)
4分の3免除 8分の5
半額免除 8分の6
4分の1免除 8分の7
納付猶予 年金額には反映されない(資格期間にはカウント)

納付猶予は、資格期間にはカウントされますが、年金額が増えるわけではありません。年金額を増やしたい場合は、追納を検討します。

追納:あとから納めて、年金額を取り戻す

免除や猶予を受けた期間の保険料は、あとから納める(追納する)ことで、年金額を増やせます。追納できるのは、10年以内の期間です。申請の期限は、約2年1か月前までの期間分とされています。

余裕ができたときに追納すれば、将来の年金額を、満額に近づけられます。追納の際は、日本年金機構から送られる納付書で納めるのが一般的です。

学生の場合は?

学生は、所得が一定以下であれば、「学生納付特例制度」を利用できます。これは、納付猶予とは別の制度です。詳細は日本年金機構のページで確認してください。

申請の流れ

  1. 市区町村の窓口か、年金事務所、またはオンライン(マイナポータル)で申請書を入手・提出する
  2. 審査のあと、結果の通知が届く
  3. 承認された期間は、免除・猶予の扱いになる
  4. 余裕ができたら、追納を検討する

申請は、原則として毎年度必要です。継続して申請する場合は、手続きを忘れないよう、案内に注意しましょう。

関連する内容は、公的年金の仕組みをやさしく整理、年金の繰下げ受給は得、iDeCoの受け取り方でも解説しています。

よくある失敗と、その防ぎ方

  • 未納のまま放置する:受給資格や障害・遺族年金に影響するおそれ
  • 免除と猶予の違いを混同する:猶予は年金額に反映されない
  • 追納の期限を忘れる:10年以内に限られる
  • 前年の所得で判断されることを知らない:収入が減ったときは、特例免除も確認

免除・猶予を受けた場合の、年金額のイメージ

年金額への影響を、考え方の例で見てみましょう。たとえば、全額免除を受けた期間は、年金額には2分の1(国庫負担分)が反映されます。半額免除なら8分の6、4分の1免除なら8分の7です。

期間の扱い 資格期間 年金額
保険料を納めた カウントされる 満額に反映される
全額免除 カウントされる 2分の1が反映される
納付猶予 カウントされる 反映されない
未納 カウントされない 反映されない

この表は考え方の整理です。実際の年金額は、加入期間の全体で決まります。ご自身の記録は、「ねんきんネット」などで確認できます。

申請前に確認したいチェックリスト

  • 前年(または前々年)の所得は、基準以下か
  • 本人だけでなく、配偶者と世帯主の所得も確認したか
  • 失業や災害などの事情があるか(特例の対象かもしれない)
  • 全額免除・一部免除・納付猶予のどれが対象になるか
  • 将来、追納する余裕ができる見込みがあるか

世帯主や配偶者の所得も審査の対象になります。親元で暮らしている人は、世帯主である親の所得も確認が必要です。結果によっては、希望した区分が認められないこともあります。

免除を受けたあとのお金の備え

免除や猶予を受けた時期は、収入が少ない時期でもあります。将来に備えて、生活費の見直しと、少額からの貯蓄を始めるのも一つの方法です。家計の見直しは「[[household-budget-fixed-costs|家計の固定費の見直し方]]」を、備えの考え方は「[[emergency-fund-guide|生活防衛資金とは?]]」を参考にしてください。

よくある質問

免除を受けると、将来の年金は少なくなりますか?

免除の種類により、年金額に反映される割合が異なります。追納すれば、年金額を取り戻せます。

納付猶予は、何歳まで利用できますか?

20歳以上50歳未満の人が対象です。

申請は、毎年必要ですか?

原則として、年度ごとに必要です。案内に従って手続きしてください。

出典(公式情報):日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(最終確認日:2026年10月23日)

まとめ:未納にせず、まず申請を。余裕ができたら追納

国民年金の保険料の納付が難しいときは、免除や納付猶予を申請しましょう。免除・猶予の期間は、年金の受給資格期間に算入されます。年金額に反映させたい場合は、10年以内に追納できます。未納のまま放置せず、市区町村や年金事務所に早めに相談してください。

最終確認日:2026年10月23日。制度・金額・ルールは変更されることがあります。最新の情報は、必ず上記の公式サイトでご確認ください。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・契約を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

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