退職金の税金|退職所得控除の計算と申告書の出し方

金融

退職金の税金は、「収入金額から退職所得控除を引き、その半分に税率をかける」という流れで決まります。この記事では、国税庁のNo.1420をもとに、退職所得控除の計算式、勤続年数の数え方、2分の1課税が使えない例外、「退職所得の受給に関する申告書」を出さない場合の源泉徴収を整理します。公式サイトで確認できなかった内容は載せていません。(最終確認日:2026年10月23日)

電卓
電卓(写真:Coyau/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0)

退職金の税金はどう計算する?

国税庁によると、退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。収入金額は、源泉徴収される前の金額です。つまり、退職金がすべて課税されるのではなく、控除額を引いた残りの半分が、他の所得と別に計算される仕組みです。

退職金は、給与や事業の所得とは別に計算されます。そのため、同じ年に収入が多くても、退職所得だけが重くなるわけではありません。具体的な税額は、控除後の金額に所得税の税率をかけて決まります。

年末調整や確定申告の基本は、年末調整の記事と確定申告の基本の記事で整理しています。

退職所得控除はいくらになる?

退職所得控除額は、勤続年数(A)によって決まります。国税庁の表は次のとおりです。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数の1年未満の端数は、1年に切り上げます。たとえば10年2か月は11年です。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上記の額に100万円が加算されます。

計算例(ご自身の数字で試す練習用です):勤続30年で退職金が2,500万円の場合、控除額は800万円+70万円×10年=1,500万円です。(2,500万円-1,500万円)×1/2=500万円が、退職所得の金額になります。この金額に、所得税などの税率をかけて税額を求めます。

2分の1課税が使えないのはどんなとき?

国税庁によると、次の場合は2分の1の計算が制限されます。

  • 特定役員退職手当等(役員等勤続年数が5年以下の役員等):2分の1の計算は使えず、退職金から控除額を引いた額がそのまま退職所得になる
  • 短期退職手当等(役員等以外で勤続年数が5年以下など):控除後の額のうち300万円を超える部分には2分の1が使えない。300万円以下の部分は通常どおり2分の1

勤続年数が短い人や役員の方は、この特例に当たるかどうかで税額が大きく変わります。判断が難しいときは、勤め先の経理や税務署に確認してください。

「退職所得の受給に関する申告書」は出すべき?

国税庁によると、申告書を提出しているかどうかで、手続きが変わります。

状況 税金の扱い
申告書を提出した 支払者が税額を計算して源泉徴収する。原則、確定申告は不要
申告書を提出していない 支払金額の20.42%が源泉徴収される。本人が確定申告で精算する

申告書を出さないと、本来より多く税金が引かれる場合があります。退職時に会社から渡される書類を確認し、期限までに提出しましょう。医療費控除や寄附金控除を受けるために確定申告をする場合は、退職所得の金額も記載する必要があります。医療費控除の記事も参考になります。

※同じ年に2か所以上から退職金を受け取る場合や、過去に退職金を受け取ったことがある場合は、控除額の計算が変わることがあります。国税庁の案内や税務署でご確認ください。

退職金の受け取り方で気をつけることは?

退職金を受け取る前に、次の点を確認しておくと安心です。

  1. 勤続年数(端数は切り上げ)と、会社から支給される退職金の額を確認する
  2. 「退職所得の受給に関する申告書」を期限までに会社へ出す
  3. 自分が役員か、勤続年数が5年以下かなど、特例の対象になるかを確認する
  4. 他の収入で確定申告をする場合は、退職所得の扱いを確認する
  5. iDeCoなど、他の制度で一時金を受け取る予定があるかを整理する

iDeCoを一時金で受け取る場合は、退職所得控除が使われます。他の退職金と同じ年に受け取ると控除額の計算が変わることがあるため、受け取る順番も大切です。くわしくはiDeCoの受け取り方の記事で整理しています。

勤続年数で控除額はどれくらい変わる?

国税庁の表では、勤続20年以下は1年あたり40万円ずつ控除額が増え、20年を超えると1年あたり70万円ずつ増えます。たとえば勤続10年なら控除額は400万円、勤続20年なら800万円、勤続25年なら800万円+70万円×5年=1,150万円です。

退職金が控除額の範囲に収まる場合は、退職所得の金額がゼロになり、退職金そのものには所得税がかからない計算になります。ただし、住民税の扱いなどは自治体の案内で確認が必要です。自分の勤続年数と見込みの退職金で、いちど試算しておくと、受け取り時に慌てません。

退職金の税金を試算する手順は?

  1. 入社日と退職日から勤続年数を数え、1年未満の端数は切り上げる
  2. 国税庁の式で退職所得控除額を計算する
  3. 退職金の見込み額(源泉徴収前)から控除額を引く
  4. 残った金額に2分の1をかけて、退職所得の金額を出す
  5. 特例(役員、勤続5年以下)に当たるかを確認する

この手順で出した金額は目安です。実際の税額は、国税庁の源泉徴収税額表や、会社の経理担当者の計算で確定します。退職前に数字を出しておくと、老後の資金計画も立てやすくなります。家計全体の見直しは、[[household-budget-fixed-costs|固定費の見直しの記事]]もあわせてご覧ください。

よくある質問

退職所得控除は誰でも使えますか?

国税庁のNo.1420では、退職金を受け取ったときの退職所得について、勤続年数に応じた退職所得控除額が示されています。特例の対象かどうかは、役員か、勤続年数が5年以下かなどで変わります。

勤続年数の端数はどう数えますか?

国税庁によると、1年未満の端数は1年に切り上げます。たとえば10年2か月は11年です。

申告書を出さないとどうなりますか?

支払金額の20.42%が源泉徴収されます。その後、本人が確定申告を行って精算します。

退職金は確定申告が必要ですか?

申告書を提出していれば、原則として確定申告は不要です。ただし、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、退職所得の金額を記載する必要があります。

出典(公式情報):国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)、国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(最終確認日:2026年10月23日)

まとめ:勤続年数の数え方と申告書の提出を確認する

退職金の税金は、(収入金額-退職所得控除額)×1/2で計算します。控除額は、勤続20年以下なら40万円×年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(年数-20年)です。申告書を出さないと20.42%が源泉徴収されるため、退職時に忘れず提出しましょう。役員や勤続5年以下の特例、iDeCoなど他の一時金との関係は、国税庁の案内と税務署で確認してください。

最終確認日:2026年10月23日。制度・金額・ルールは変更されることがあります。最新の情報は、必ず上記の公式サイトでご確認ください。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買・契約を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。