海外で困ったら在外公館(大使館・領事館)に何をしてもらえる?できること・できないこと

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海外でトラブルに巻き込まれたとき、「とりあえず日本の大使館に行けば、なんとかしてくれる」と思っていませんか。実は、在外公館(日本の大使館・総領事館)ができることには限りがあります。期待していたことをやってもらえず、慌ててしまう人も少なくありません。

この記事では、外務省の資料「海外安全ホームページ」の「海外安全パンフレット」をもとに、在外公館が対応してくれること、してくれないこと、そして、困ったときに自分でやっておくことを整理しました。

在外公館とは?

在外公館は、日本の政府が海外に置いている機関の総称で、大使館、総領事館、領事事務所などがあります。海外に住む日本人や、旅行中の日本人を支援する窓口の役割もあります。ただし、何でも解決してくれるわけではなく、できる支援の範囲は、法律や国際的なルールで決まっています。

在外公館がしてくれること

外務省の資料では、海外でトラブルにあった日本人への支援として、次のようなことが挙げられています。

内容 説明
パスポートの新規発給 旅券を紛失したときに、新しい旅券を発給してもらえる
帰国のための渡航書の発給 手数料がかかる。急いで帰国する場合に利用できる
送金方法の助言 お金を盗まれたときなどに、家族や知人から送金してもらう方法について、助言を受けられる
警察への届出方法の助言 現地警察への被害届の出し方などについて、相談できる

旅券を紛失した場合は、現地の警察署が発行する紛失届の受理証明書などが必要になります。先に警察に届け出ておくと、手続きがスムーズです。

在外公館がしてくれないこと

一方で、次のことは、在外公館では行っていません。ここを誤解していると、現地で時間を無駄にしてしまいます。

してもらえないこと どうすればいい?
警察への被害届の代行 自分で、現地の警察署に届け出る。届出の方法は、在外公館に助言を求められる
金銭の貸し出し・供与 家族・知人からの送金、クレジットカードのキャッシング、保険の活用などを検討する
遺失物の捜索 現地の警察や、交通機関・施設の遺失物窓口に問い合わせる
犯人の捜査・逮捕 現地の警察・司法機関の役割
クレジットカードの失効手続きの代行 カード会社に、自分で連絡する

外務省の資料には、在外公館が、カード会社への連絡方法を案内しているわけではない、という趣旨の記載もあります。カード会社の緊急連絡先は、出発前に控えておきましょう。

パスポートを失くしたときの、基本の順番

  1. 安全な場所に移動する
  2. 現地の警察署に行き、盗難・紛失の届出をする(受理証明書などをもらう)
  3. 在外公館に連絡して、パスポートの再発行、または帰国のための渡航書の手続き方法を確認する
  4. 必要書類(写真、本人確認の書類、警察の証明書など)をそろえて、在外公館で申請する

手続きには、日数がかかります。帰国の便を予約している場合は、航空会社にも早めに連絡しましょう。パスポートの手続き全般は、「パスポートの取得・更新ガイド」でも解説しています。

事前にやっておくと役立つこと

連絡先を控える

行き先の国にある、日本の在外公館の住所と電話番号を、出発前に控えておきましょう。スマホが使えなくなったときのために、紙のメモにも書いておくと安心です。

パスポートのコピーと写真を用意する

パスポートの顔写真ページのコピーと、証明写真を数枚用意しておくと、再発行の手続きがスムーズになります。コピーは、パスポートとは別の場所に保管してください。

旅行の予定を共有する

家族や友人に、旅程と連絡先を共有しておきましょう。事件や災害が起きたとき、連絡がつかないと心配をかけてしまいます。外務省の「たびレジ」に登録しておく方法もあります(「たびレジとは?」)。

保険とカードの連絡先を確認する

海外旅行保険の連絡先、クレジットカードの緊急連絡先は、必ずメモしておきましょう。保険の使い方は、「海外旅行保険とカード付帯の違い」で整理しています。

こんなとき、どう動く?ケース別の対処

ケース 最初にやること 在外公館の役割
パスポートを盗まれた 警察に届出 再発行・渡航書の手続き
財布を盗まれた 警察とカード会社に連絡 送金方法の助言
事件に巻き込まれた 身の安全の確保、警察への連絡 状況に応じた助言(捜査はしない)
病気やけがで入院した 保険会社に連絡 状況の確認や、家族への連絡の助言など(ケースによる)

よくある質問

在外公館は、通訳をしてくれますか?

在外公館は、通訳や翻訳のサービスを一般に提供しているわけではありません。外務省の資料でも、基本的な支援の範囲として挙げられていません。医療機関などでの通訳は、保険会社のサポートデスクを活用しましょう(「海外で病院にかかる時の流れ」)。

夜間や休日でも相談できますか?

在外公館の対応時間は、国や公館ごとに異なります。緊急の連絡先がある場合もあります。出発前に、行き先の公館の案内を確認しておきましょう。

連絡する前に、メモしておくと伝わりやすいこと

  • 自分の氏名、パスポート番号(控えがあれば)、現在地
  • 何が起きたか(いつ、どこで、何を失くした・盗まれたか)
  • 警察に届け出たかどうか(受理番号・受理証明書の有無)
  • 帰国の予定日、航空券の便名
  • 連絡がつく電話番号やメールアドレス

状況を整理してから連絡すると、窓口でのやり取りがスムーズになります。慌てているときほど、メモに書き出すと落ち着けます。

渡航書とパスポート、どちらを選ぶ?

在外公館では、新しいパスポートの発給と、帰国のための渡航書の発給を受けられるとされています。急いで帰国する必要があるときは、渡航書という方法があります。一方で、そのまま旅行を続けたい場合や、別の国へ移動する場合は、パスポートの再発行が必要になることもあります。どちらが適しているかは、行き先や日程によって変わるため、在外公館で相談してください。

出発前にやっておくと安心なこと

  • パスポートの顔写真ページのコピーを、原本とは別の場所に保管する(再発給の手続きの際に役立つ)
  • 渡航先の日本大使館・総領事館の所在地と連絡先を、スマホとメモの両方に控えておく
  • 緊急時の連絡先(家族・保険会社・カード会社)をまとめておく
  • 外務省の「たびレジ」に登録して、安全情報を受け取れるようにする

大使館や領事館は、旅行者が困ったときの相談先ですが、できることの範囲が決まっています。「何をしてくれるか」だけでなく「何をしてくれないか」を知っておくと、現地でのトラブル時に、優先順位をつけて動きやすくなります。

こんなときは、まずどこへ連絡する?

状況 最初の動き
パスポートをなくした 現地の警察で届出を行い、証明書を受け取ったうえで、大使館・総領事館に相談する
事件や事故にあった 身の安全を確保し、現地の警察・救急に連絡する。そのうえで、大使館等にも連絡する
病気やけがで入院した 海外旅行保険の窓口に連絡し、必要に応じて大使館等にも相談する
お金が足りなくなった 家族や知人への送金手段、カード会社への連絡を検討する(大使館等から金銭の貸与は受けられない)

状況ごとに、最初に連絡する先が違います。上の表は、動き方の例です。実際の対応は、渡航先の事情で変わるため、現地で案内を受けながら、落ち着いて進めましょう。

まとめ:在外公館は「助言と書類」、あとは自分で動く準備を

在外公館は、パスポートの再発行や渡航書の発給、送金方法や届出の助言などをしてくれます。一方、被害届の代行や、お金の貸し出し、遺失物の捜索はしてくれません。トラブルに備えて、連絡先とコピーを用意し、保険やカードの連絡先も控えておきましょう。

出典:外務省「海外安全ホームページ」海外安全パンフレット。最終確認日:2026年10月21日。対応範囲は、国や公館により異なる場合があります。最新の情報は、外務省と各在外公館の公式サイトでご確認ください。